VIOLIN BUYING GUIDE

バイオリンを買う前に押さえるポイントIII

今回は「予算」にフォーカスして、価格帯ごとの“選び方の目安”を整理します。
どれが正解、という話ではなく、楽器選びの地図として頭の片隅に置いてください。

予算帯ごとの目安

価格帯によって、選べる楽器の“幅”と“将来の動かしやすさ(買い替え・下取りのしやすさ)”が変わります。 下記はあくまで一般的な傾向です。気になる楽器があれば、必ず実際に弾いて確認しましょう。

5万円前後

この価格帯は、入門向けのセット(アウトフィット)品が中心です。
日本製の入門機(例:SUZUKI #230)や、チェコ製ARSMUSICなどが候補になりやすく、 そのほかは中国製のブランドが多いゾーンです。

目安:お子さま/はじめての1本

10万円〜50万円

20万円前後:ドイツ工房製の入門〜初中級(いわゆる廉価版)
40万円前後:1960〜1990年代の中古をオーバーホールした楽器(ラベルなし/コピーラベル含む)など。
選択肢が一気に増えるので、「どんな音が好きか」を明確にすると迷いが減ります。

目安:初心者のステップアップ/アマチュア

50万円〜100万円

イタリア若手の新作、日本人製作家の新作、ドイツ・チェコなどのモダン楽器が視野に入ります。
反応・音色・扱いやすさのバランスを取りやすく、“長く付き合える1本”を狙いやすい価格帯です。

目安:音高・音大/上級アマ/プロのセカンド

100万円〜500万円

イタリア新作(若手〜巨匠クラス)、ドイツ・チェコ・フランスのモダン、 さらにドイツ・フランスのオールドまで、選択肢が大きく広がります。
“価格=正解”ではないので、コンディション・由来・弾き心地まで含めて総合判断が重要です。

目安:音大・プロ/ハイエンドアマ

※ 対象はあくまで目安です。実際には奏法・好み・目的で最適解は変わります。

選び方の視点

「完成された音」か「育てる音」か

年配の方や教室の流れによっては、音がある程度まとまっているモダン/オールドを好む傾向があります。
一方で、アマチュアや音高・音大の方は、新作を弾き込みながら自分で音を育てたい、というニーズが強いことも。

相場が見えにくい楽器は「弾いた感覚」が最後

著名な製作家や銘柄なら相場が見えやすい反面、ラベルを調べても情報が少ないケースもあります。
高額帯ほど「不安が残るなら見送る」くらいの慎重さが結果的に後悔を減らします。

迷ったら断る、をルールに

高額な買い物ほど、判断を急ぐと失敗しやすいです。
「今決めないと手に入らない」という状況でも、納得できない要素が残るなら一度止まる。 それでも欲しいと思えるか、時間を置いて確認してみてください。

買い替えの“いたちごっこ”を避ける

続けるほど技術は上がり、楽器・弓への要求も上がります。
そのたびに小刻みに買い替えると、結果として負担が大きくなることも。
10年後も続けているイメージがあるなら、「少し貯めて、長く使える1本を狙う」という考え方も有効です。

後悔先に立たず。
“次の自分”が弾いても満足できるかを想像しながら、焦らず探してみてください。

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