バイオリン弦の張り替え・交換方法
SoundScape / HOW TO

バイオリン弦の張り替え・交換方法

「弦交換は工房でないと無理かも…」と不安な方へ。ポイントさえ押さえれば、初めてでも落ち着いて交換できます。
このページでは、交換のタイミング・注意点・写真付き手順をまとめて解説します。

※ ご不安な場合は無理をせず、工房へご相談ください。
※ 駒や魂柱のズレが疑われる場合は、自己判断で直さず専門家へ。

よくある質問

Q:交換するタイミングは?

A:趣味で演奏される方の場合、使用頻度にもよりますが目安は数ヶ月〜半年ほどです。
ただし、期間に関係なく「音の抜けが悪くなった」「反応が鈍い」「弦の色が変わった」「ほつれや錆(さび)が出た」などの変化を感じたら交換をおすすめします。

また、汗や皮脂、松脂の汚れを放置すると劣化が早まります。演奏後は楽器クロスで弦を軽く拭くだけでも寿命が伸びます。

ほつれの例
A線:上ナット付近のほつれ
錆の例
錆(さび)の例

Q:何番線から交換するの?

A:厳密な決まりはありませんが、一般的には外側(G線・E線)から1本ずつ交換する方法が安心です。
例:4-1-3-2 または 1-4-2-3 など。

重要なのは、弦を全部いっぺんに外さないこと。弦の張力で立っている「駒」が倒れたり、内部の「魂柱」がズレる原因になります。
駒位置の調整や魂柱の復旧は専門作業のため、異常があれば工房へご相談ください。

ここがポイント
  • 交換は必ず1本ずつ(他の弦は張ったまま)
  • 作業中、駒が前に倒れやすいので駒がまっすぐか時々確認
  • 不安がある場合は、無理に作業せず専門家に依頼

準備するもの

作業前に、手を洗い、机の上を片付けてから始めましょう。小さな部品が落ちても見つけやすいよう、明るい場所がおすすめです。

バイオリン弦
バイオリン弦一覧へ
鉛筆(2Bなど)
ナット・駒の溝に塗るため(滑りを良くします)
コンポジション
コンポジションを見る
楽器クロス
弦楽器クロスを見る
※ あると便利:チューナー、替え弦を置くトレー(小皿)、柔らかい布(楽器保護)

実際に弦を張ってみよう

STEP 1

古い弦を外す(まずは1本だけ)

ペグを回して緩める
1)ペグを回して弦をゆるめる
ペグ穴から弦を抜く
2)ペグ穴から弦先端を抜く
テールピースの穴から外す
3)テールピースの穴から下へスライド
引き抜く
4)スライド後に引き抜く

交換は1本ずつ行います。最初は4番線(G線)から始めると分かりやすいです。
ペグ位置の目安:G線=左下/D線=左上/A線=右上/E線=右下(楽器を構えた時の向きで覚えると迷いにくいです)

ペグが回しづらい・滑る場合

弦を外したタイミングで、コンポジションを少量使うと、適度な「滑り」と「止まり」が得られます。
塗る場所は、ペグボックスの壁に当たっていた部分(ペグの接触面)です。

STEP 2

新しい弦をテールピースにセットする

テールピースに弦をセット
ボールエンドを入れて、細い側へスライドして固定します

テールピースの穴は下側が膨らんだ形になっており、ボールエンドを入れてから細い方へスライドさせて固定します。
穴が小さく上から入れにくいタイプは、テールピース裏から弦先端を通して引き上げてください。

STEP 3

鉛筆で「ナット」と「駒」の溝をなぞる

上ナットの溝に鉛筆
上ナットの溝に鉛筆
駒の溝に鉛筆
駒(ブリッジ)の溝に鉛筆

溝の滑りが悪いと、張力が一点に集中してほつれ・断線の原因になります。
2Bなど柔らかめの鉛筆で、溝をやさしく数回なぞるだけでOKです(削る必要はありません)。

※ 弦の太さはE/A/D/Gで異なります。溝が極端に狭い・深いなど違和感がある場合は、工房で点検をおすすめします。
STEP 4

弦をペグ穴に通し、巻き上げる

ペグ穴に通す
1)ペグ穴に弦を通す
奥側に1周
2)奥側へ1周させる
弦を挟む
3)手前に回して、飛び出した弦を挟む
内壁に向けて巻く
4)内壁側へ寄せながら巻く

テールピース側が固定できたら、弦先端をペグ穴へ通し、写真のように巻き上げます。
巻きが重なりすぎると動きが悪くなるので、弦同士の間隔を少し空けると調弦がスムーズです。
また、ペグは摩擦で固定されるため、巻き上げる時に少しだけ押し込む感覚を意識すると安定しやすくなります。

仕上げのチェック(ここまで来たら安心)
  • 弦がナット・駒の溝に正しく収まっている
  • 駒が傾いていない(正面から見てまっすぐ)
  • ペグの巻きが極端に偏っていない
  • 急に強く締めず、少しずつ音程を上げた
完成
完成!焦らず、ゆっくり進めるのが一番のコツです。

番外編:E線は「ボール」と「ループ」の2種類

E線には、先端がボールエンドのタイプと、輪になっているループエンドのタイプがあります。
ご使用のアジャスターに合わないと取り付けできない場合があるため、購入前に確認しておくと安心です。

E線ボールエンド
E線:ボールエンド
E線ループエンド
E線:ループエンド
ボールエンド用アジャスター
ボールエンド用アジャスター
ループエンド用アジャスター
ループエンド用アジャスター

番外編:ペグの状態を確認してみましょう

経年劣化例
経年劣化による症状(例)
経年劣化例2
経年劣化による症状(例)

ペグ穴が広がったり、ペグが痩せてくると、ペグがペグボックス内で正しく収まらず、巻き上げや調弦が不安定になります。
そのまま使い続けると、無理な力がかかってペグボックスが割れる原因になることもあります。

「回しても止まらない」「急に緩む」「ペグが飛び出す」などの症状が強い場合は、バイオリン工房でのペグ調整・交換(ブッシング等)をご検討ください。

次に読む(関連ページ)

交換後は、最初の数時間〜数日は弦が伸びて音程が変わりやすくなります。こまめに調弦しながら、少しずつ安定させていきましょう。
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